令和8年熊本地震が教えてくれた「真夏に被災する」ということ
2026年7月28日、熊本県を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。熊本県内では2016年の熊本地震から10年ぶりの震度7です。
この地震で改めて突きつけられたのが、「災害は涼しい季節を選んで起きてはくれない」という当たり前の事実でした。発生したのは、一年でもっとも暑い7月末。この記事では、真夏に被災するという前提が、私たちの備えをどう変えるべきかを整理します。
避難所は涼しいとは限らない
この地震で課題として指摘されたことのひとつが、避難所の空調設備の不足でした。指定避難所となる体育館や公民館には、冷房が備わっていない施設が少なくありません。
つまり、真夏に避難所へ行っても、暑さから逃れられるとは限らないということです。ここから導かれる備えは2つあります。
- 自分の分の暑さ対策を持ち出し袋に入れておく
- そもそも避難所に行かなくて済むよう、自宅の安全性を高めておく
持ち出し袋に「夏用」を足す
季節を問わず必要なもの(水・食料・ライト・携帯トイレ)に加えて、夏には次のものが効いてきます。
- 電池式または充電式の小型扇風機。首にかけるタイプは片付け作業中にも使えます
- 瞬間冷却パック、冷感タオル、冷却シート。水がなくても体を冷やせます
- 経口補水液の粉末。液体より軽く、かさばりません
- 塩分タブレット
- 汗を拭く大判のボディシート。断水中の衛生対策にもなります
- 帽子、日傘、薄手の長袖。片付け作業中の熱中症を防ぎます
反対に、冬用のカイロや厚手の防寒具は、夏のあいだは外しておいて構いません。持ち出し袋は重くなりすぎると持ち出せなくなるため、季節ごとに中身を入れ替えるのが実用的です。
断水は停電より長引きます
この地震では、断水がおよそ8万4千戸、停電が約3万2千戸に及びました。そして復旧の順番でいえば、電気のほうが早く戻り、水道は長く残るのが過去の地震でも繰り返されてきた傾向です。
水道管は地中に埋まっているため、どこが壊れているかを探すだけでも時間がかかります。だからこそ、備蓄の優先順位はこうなります。
- 水(1人1日3リットル、夏は4リットル以上を想定)
- 携帯トイレ(1人1日5回分)
- 体を拭くためのウェットシート
「一部破損」でも申請できます
住宅被害は、全壊約1,700棟、半壊約3,100棟に対して、一部破損が約2万7千棟と、桁違いに多くなりました。
これは多くの家庭にとって、「家は建っているけれど、屋根や壁が傷んでいる」という状態が現実的だということです。そしてこの場合も、罹災証明書の対象になり、支援や保険の申請ができます。
「全壊した人が大変なのだから、うちなんて」と遠慮して申請しない方がいますが、制度は使うために用意されています。片付ける前に必ず写真を撮ってください。手順は被災後にやることで解説しています。
10年で記憶は薄れます
熊本では2016年に大きな地震を経験しました。それから10年、備えを続けていた家庭と、記憶が薄れてしまった家庭とで、差が出たと考えられます。
防災の備えは、一度そろえて終わりではありません。水と食料には期限があり、家具の固定はゆるみ、家族構成も変わります。年に一度でいいので、点検する日を決めてください。9月1日の防災の日が、いちばん忘れにくい目安です。
暑さそのものへの対策は猛暑・熱中症への備えに、巨大地震への備えは南海トラフ・首都直下地震への備えにまとめています。