先に知っておく3つのルール
- 重さの上限は「背負って走れる」まで。目安は男性15kg・女性10kg・子どもは体重の1割程度。詰めたら一度、家の周りを歩いてみてください
- 持ち出し袋と備蓄は別物。1週間分の水や食料は家に置く備蓄の仕事。袋には1〜2日分だけ
- 置き場所は玄関か寝室。取りに行けない場所(納戸の奥・2階の押し入れ)にある袋は存在しないのと同じです
最低限の20点【基本チェックリスト】
- 飲料水(500ml×2〜4本。大きいボトルより小分けが使いやすい)
- そのまま食べられる食品1〜2日分(栄養補助食品・ようかん・アルファ米など)
- 携帯トイレ(5回分以上)
- 懐中電灯またはヘッドライト(+予備電池)
- モバイルバッテリー+充電ケーブル
- 携帯ラジオ(手回し・電池式)
- 救急セット(絆創膏・消毒・包帯・痛み止め・胃腸薬)
- 常用薬・お薬手帳のコピー
- マスク・アルコール消毒・ウェットティッシュ
- ホイッスル(閉じ込められたとき、体力を使わず居場所を知らせる道具)
- 軍手・厚手の靴下
- レインコート(傘は両手がふさがるのでNG)
- アルミブランケット(防寒・目隠し・敷物に万能)
- タオル2〜3枚
- 下着・着替え1組
- ポリ袋10枚+ジッパー付き袋数枚(防水・ごみ・水運びに万能)
- 現金(小銭多めに数千円。停電時はATMもキャッシュレスも止まります)
- 身分証・保険証・通帳のコピー(原本の保管場所メモでも可)
- 家族の連絡先・集合場所を書いたメモ(スマホが死んでも読める紙で)
- 歯磨きシート・からだ拭きシート
袋そのものは何がいい?
両手が空くリュック型一択です。防水性があればベスト、なければ中身をポリ袋で包めば十分。市販の「防災セット」を買った場合も、中身を一度全部出して、自分の家族に必要な物へ入れ替えてください。
家族構成別・追加リスト
赤ちゃんがいる家庭(+詳細はこちら)
- 液体ミルク+アタッチメントまたは使い捨て哺乳瓶
- おむつ(10枚〜)・おしり拭き・ビニール袋
- 離乳食・ベビースプーン
- 母子手帳・医療証のコピー
- 抱っこひも・授乳ケープ・お気に入りの小さなおもちゃ
子どもがいる家庭
- 子どものお菓子・飲み慣れたジュース
- 防災カード(名前・連絡先・アレルギー・家族写真)
- 小さな遊び道具(カード・ぬりえ)
- 子どもサイズの軍手・マスク・着替え
高齢者がいる家庭(+詳細はこちら)
- 常用薬7日分・お薬手帳のコピー
- 眼鏡・補聴器(電池)・入れ歯(洗浄剤)の予備
- 介護保険証のコピー・大人用おむつ(必要なら)
- やわらかい食品(おかゆ・ゼリー飲料)
女性
- 生理用品(多めに。ふだんのブランドが安心)
- 防犯ブザー・ホイッスル
- 大判ストール(防寒・目隠し・着替えカバー)
- スキンケア・リップなど最小限の衛生用品
ペットがいる家庭(+詳細はこちら)
- フード5日分・折りたたみ食器・水
- リード予備・ペットシーツ・排泄袋
- ワクチン記録のコピー・ペットの写真
置き場所と「分散」の考え方
- メインの袋:玄関または寝室。家族がすぐ手に取れる場所に1人1袋が理想
- 枕元セット:スリッパ・懐中電灯・ホイッスル・眼鏡。夜の地震はまずこれだけで身を守ります
- 車:毛布・水・簡易トイレの予備(帰宅困難・車中避難対応)
- 職場・通勤バッグ:モバイルバッテリー・小さなライト・ようかん1本・ホイッスル。外出先の被災に効きます
年2回の見直しで「死んだ袋」にしない
持ち出し袋の最大の敵は「作って満足」。食品と電池は静かに期限が切れ、子ども服はサイズアウトします。見直しは年2回、日付で固定してしまいましょう。おすすめは「3月と9月」(防災週間・防災の日に合わせる)または家族の誕生日など忘れない日。
- 食品・水・電池の期限チェック → 期限が近い物は日常で消費して補充
- 衣類のサイズ・季節を入れ替え(夏は冷却グッズ、冬はカイロ)
- 書類のコピー(連絡先・保険証)が最新か確認
- 背負って重さを確認 → 増えていたら「1〜2日分」に絞り直す
重さの目安と背負い方:走れない袋は役に立たない
持ち出し袋にありがちな失敗が「詰め込みすぎて重くて動けない」です。目安は次のとおりです。
| 対象 | 重さの目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 成人男性 | 10kg前後まで | 体力に自信がなければ7〜8kg |
| 成人女性 | 7kg前後まで | 抱っこの子どもがいるなら5kg以下に |
| 高齢者 | 3〜5kg | キャリーカート併用も検討(ただし階段・ガレキでは背負う前提) |
| 小学生 | 1〜3kg | 自分の着替え・おやつ・ライト程度 |
- 一度、袋を背負って近所を10分歩いてみてください。重すぎたら、その場で中身を減らす。これが一番確実な点検です。
- 重い物(水など)は背中側・上寄りに入れると体感が軽くなります。
- 両手が空くリュック一択。ショルダーバッグ・手提げは避難には不向きです。
- 胸ベルト・腰ベルト付きのリュックだと、走っても揺れず疲れにくくなります。
「一次持ち出し」と「二次持ち出し」に分ける
すべてを1つの袋に入れようとするから重くなります。「逃げるときの袋」と「あとで取りに戻る箱」に分けるのがプロのやり方です。
- 一次持ち出し品(玄関の袋):命と最初の1日をつなぐ物。この記事の基本20点を上限に、軽く。
- 二次持ち出し品(押し入れ・物置の箱):安全確認後に取りに戻る物。水・食料の追加、カセットコンロ、着替え、毛布、携帯トイレの箱など。衣装ケースや段ボールに「防災」と書いてまとめておくだけでOKです。
- 二次持ち出し品はふだんの備蓄と兼用で構いません。「どこに何があるか家族全員が知っている」ことが大切です。
0次の備え:ふだん持ち歩く「ポケット防災」
災害は外出中にも起きます。ふだんのかばんに、モバイルバッテリー・小さいライト・ホイッスル・絆創膏・常用薬1回分・10円玉数枚(公衆電話用)・携帯トイレ1個を入れておく「0次の備え」もおすすめです。全部で数百グラムに収まります。
持ち出し袋のQ&A
Q. 市販の防災セットを買えば十分?
A. 出発点としては優秀ですが、「そのままでは足りない」と考えてください。市販セットにはあなたの家族専用の物(薬・眼鏡・粉ミルク・アレルギー食・ペット用品)が入っていません。買ったら一度全部出して中身を把握し、家族仕様に追加・入れ替えするところまでがセットです。
Q. 貴重品はどこまで袋に入れる?
A. 現金(小銭多め・1万円程度)と、通帳・保険証・免許証・マイナンバーカードのコピーまたはスマホ撮影データで十分です。原本を袋に入れっぱなしにするのは盗難・紛失リスクのほうが高いのでおすすめしません。原本は避難直前に財布ごと持ち出す動線で。
Q. 置き場所は玄関以外だとどこがいい?
A. 優先順位は「玄関 → 寝室 → 車」です。寝室は夜間の被災に備えて。車は普段使いする人なら追加の備えとして有効です(夏の車内高温に耐える物だけ。季節別対策参照)。マンションなら玄関の廊下側収納が最適です。
Q. 何年も見直していない袋があります。何から確認すべき?
A. 確認の優先順は ①食品・水の期限 ②電池(液漏れしていたら周りの機器ごと点検)③薬の期限 ④子どもの服・おむつのサイズ ⑤ライト・ラジオの動作、です。ついでに季節の衣替えもどうぞ。年2回(6月・11月)の定期見直しをカレンダーに登録してしまうのが確実です。