地震への備えと直後の行動マニュアル
家具の固定から在宅避難の判断まで

地震のけがの3〜5割は、家具の転倒・落下・移動が原因と言われます。つまり「家の中を安全にする」ことが最大の地震対策。揺れた瞬間の行動とあわせて解説します。

突っ張り棒とL字金具で固定された本棚とタンスのイラスト

揺れた瞬間にやること・やってはいけないこと

強い揺れは長くても1〜2分。この間にできることは、実はほとんどありません。だからこそ「これだけ」を体に覚えさせます。

揺れている間の3原則

①姿勢を低く ②頭を守る ③揺れが収まるまで動かない。机の下に隠れる、クッションや腕で頭を覆う、寝ていたら布団にもぐって頭を守る。まずこれだけです。

やってはいけないこと

揺れが収まったら(最初の10分)

  1. 家族の無事と、足元・頭上の安全を確認(靴を履く)
  2. 火の始末とガスの元栓。ガス臭いときは換気扇・電気に触らず窓を開けて外へ
  3. ドアや窓を開けて避難経路を確保(建物がゆがむと開かなくなります)
  4. テレビ・ラジオ・スマホで津波・火災など周辺の情報を確認。沿岸部なら迷わず高台へ
  5. 外へ避難するときはブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉める

家具の固定:防災グッズを買う前にやる最優先事項

近年の大きな地震では、けがをした人の3〜5割が「家具類の転倒・落下・移動」によるものと報告されています。倒れた家具は、けがだけでなく、避難路をふさぐ・火災の原因になる・下敷きで逃げ遅れるなど、被害を連鎖させます。

家具転倒防止の3つの方法の図解。L字金具で壁に固定、突っ張り棒とストッパーの併用、ガラス飛散防止フィルム
固定の強さは「L字金具 > ベルト式 > 突っ張り棒+ストッパー併用 > 突っ張り棒単独」。

優先順位のつけ方

  1. 寝室:寝ている間は逃げられません。ベッド・布団のまわりに倒れてくる家具を「置かない」が最優先。無理なら固定
  2. 子ども部屋・高齢者の部屋:同上
  3. リビング・キッチン:テレビは粘着マット+ベルト、食器棚は扉の開放防止ラッチ+ガラス飛散防止フィルム、冷蔵庫は専用ベルトで
  4. 玄関までの通路:避難路に倒れる物がないか

固定方法の選び方

通電火災と感震ブレーカー:地震火災の半分は「電気」

東日本大震災で原因が特定された火災のうち、過半数は電気関係でした。代表例が「通電火災」。停電が復旧した瞬間に、倒れた電気ストーブや傷ついたコードから出火する火災で、避難して誰もいない家で起きるため発見が遅れます。

在宅避難か、避難所か:判断の基準

在宅避難と避難所の使い分けの図解。自宅が安全なら在宅避難、倒壊や火災の恐れがあれば避難所へ
「自宅が危険かどうか」だけで判断します。停電・断水は在宅避難で乗り切れます。

在宅避難でも、避難所は「物資・情報・支援の受け取り拠点」として使えます。遠慮せず情報を取りに行きましょう。

家族の安否確認:連絡手段を「決めておく」

災害直後は電話がつながりにくくなります。家族がバラバラの時間帯(平日昼など)に被災した場合の集合場所と連絡手段を、紙に書いて共有しておくのが基本です。

地震への備えチェックリスト

家具固定の実践:場所別のやり方と道具

「固定が大事なのはわかったけど、実際どうやるの?」に答える実践編です。ホームセンターや通販で手に入る道具で、週末1日あれば主要な家具の固定は完了します。

家具別の固定方法早見表
家具・家電おすすめの固定方法ポイント
本棚・食器棚・タンスL字金具(最強)/突っ張り棒+ストッパーの併用ネジ止めできない場合は「突っ張り棒(天井側)+ストッパーか粘着マット(床側)」の上下併用で金具に近い効果
冷蔵庫専用ベルトで壁と連結背面上部の固定用金具を活用。上に物を置かない
テレビ粘着マット+背面ベルトで台と連結倒れると画面が凶器に。台ごと固定が理想
電子レンジ粘着マット棚の上にあるレンジは飛んできます。低い位置への移動も検討
食器棚のガラス扉飛散防止フィルム+耐震ラッチラッチは揺れると扉をロックし、中身の飛び出しを防ぐ
吊り下げ照明チェーンで複数点留め、またはシーリングライトへ交換振り子のように暴れて天井を壊すことがある

寝室の安全化:夜の地震から身を守る

大地震は夜中に起きるかもしれません。停電で真っ暗、床はガラスまみれ——この状況を想定して寝室を整えます。

地震保険と耐震診断:お金の備えも防災

物の備えと同じくらい大切なのが「住まいとお金」の備えです。

地震のQ&A

Q. 揺れたらまず火を消しに走るべき?

A. いいえ。今のコンロの多くは強い揺れで自動消火しますし、揺れの最中に台所へ走るとやけど・転倒のリスクのほうが大きいです。まず自分の頭と体を守り、揺れが収まってから火元を確認してください。

Q. 「地震のときはドアを開けろ」は本当?

A. 建物がゆがむとドアが開かなくなるため、「揺れの合間に避難経路を確保する」こと自体は正しい知識です。ただし優先順位は「身の安全>ドア」。近くにドアがあれば開けておく、程度に考えてください。

Q. 緊急地震速報が鳴ったら何秒ある?

A. 場所によって0秒〜数十秒です。「机の下へ」「頭を守る」「火に近づかない」を体が勝手に動くまで家族で練習しておくと、短い猶予でも活きます。子どもとは「地震ごっこ」として遊び感覚で練習を(子どもの防災参照)。

Q. 地震のあと、ガスの臭いがする気がします。

A. 火気厳禁・換気・元栓を閉めて屋外へ。換気扇や照明のスイッチも触らないでください(火花で引火の恐れ)。屋外からガス会社へ連絡を。都市ガスはマイコンメーターが自動遮断していることも多く、復帰方法はメーターに記載されています。

Q. 津波が心配な地域。何を基準に逃げる?

A. 海の近くで「強い揺れ」または「弱くても長い揺れ」を感じたら、警報を待たずに、高い場所へ、徒歩で、すぐに。これが原則です。「もう少し様子を見る」が最も危険です。避難後は警報が解除されるまで戻らないでください。