家庭の備蓄は何日分必要?
水・食料リストとローリングストックのやり方

結論は「最低3日・できれば1週間」。この記事では、家族の人数別に必要な量の早見表と、期限切れにせず無理なく続く備蓄のやり方を紹介します。

水のペットボトル・米・缶詰・カセットボンベなどを備えた棚のイラスト

備蓄は「最低3日分・できれば1週間分」が答え

大きな災害が起きると、電気・ガス・水道が止まるだけでなく、道路の寸断や物流の混乱で、お店から食品が消えます。過去の大規模災害では、被災地の外から支援物資が十分に届き始めるまで3日以上かかることが珍しくありませんでした。だからまず3日分。そして南海トラフ地震のような広域災害では1週間以上の混乱も想定されているため、余裕があれば1週間分まで積み増します。

この章の結論

①水は1人1日3リットル ②食料は最低3日・できれば7日分 ③「非常食を買う」より「いつもの食品を多めに買って回す」ほうが続く。この3つだけ覚えれば十分です。

「1週間分なんて置く場所がない」と感じた人も、心配いりません。あとで紹介するローリングストックなら、備蓄の半分は「ふだんの食品ストックの延長」なので、思っているほど場所を取りません。

水の備蓄量:1人1日3リットル【人数別早見表】

飲み水と調理用を合わせて、必要な水は1人1日3リットルが目安とされています。家族の人数で計算すると次のとおりです。

飲料水の必要量早見表(1人1日3Lで計算。2Lペットボトル換算)
家族の人数3日分1週間分
1人9L(2Lペット5本=約1箱)21L(11本=約2箱)
2人18L(9本=約2箱)42L(21本=約4箱)
3人27L(14本=約3箱)63L(32本=約6箱)
4人36L(18本=3箱)84L(42本=7箱)
5人45L(23本=約4箱)105L(53本=約9箱)

一度にそろえる必要はありません。「買い物のたびに1ケース」を数回繰り返せば、1か月以内に3日分はそろいます。長期保存水(5〜10年)は割高ですが入れ替えの手間が減るので、「押し入れの奥は長期保存水、キッチンはふだんのペットボトル」のように使い分けるのが現実的です。

生活用水は「別枠」で考える

上の3リットルは飲用・調理用だけの数字です。トイレ・手洗い・食器洗いなどの生活用水は別に必要になります。お風呂の残り湯をすぐ流さずためておく、給水袋やポリタンクを用意しておくなどの方法は断水ガイドで詳しく解説しています。

食料の備蓄:選び方と1週間分の目安

備蓄食品は「主食(エネルギー)」「主菜(たんぱく質)」「その他(野菜・果物・好きな物)」の3つに分けて考えると、バランスよくそろいます。

大人2人×1週間分の備蓄例
分類品目の例量の目安
主食米、パックごはん、カップ麺・袋麺、乾麺(そうめん・パスタ)、シリアル米2kg+パックごはん・麺類 計20食程度
主菜肉・魚の缶詰(サバ缶・ツナ缶・焼き鳥缶)、レトルトカレー・牛丼、パスタソース合わせて20〜25食分
その他野菜ジュース、乾物(わかめ・切り干し大根)、フルーツ缶、みそ汁・スープの素、チョコ・ようかんなどの菓子野菜ジュース1日1本×人数分+適量

選ぶときの4つの基準

「乾パンだけ」はやめておく

昔ながらの非常食だけをまとめ買いすると、味に飽きる・固くて食べにくい・結局期限切れ、という失敗になりがちです。備蓄の主役は「ふだんの食品」。特別な非常食は補助と考えましょう。

ローリングストック:期限切れにしない唯一のコツ

備蓄の最大の敵は「賞味期限切れ」です。それを防ぐ仕組みがローリングストック。難しいことは何もなく、「①いつもの食品を多めに買う → ②期限の近い物から食べる → ③食べた分を買い足す」を繰り返すだけです。

ローリングストックの図解。多めに買う、ふだんの食事で食べる、食べた分を買い足すのサイクル
備蓄が「置きっぱなしの箱」ではなく「回転する在庫」になるのがポイント。

続けるための3つの工夫

  1. 置き場所は「使う場所の近く」に。押し入れの奥ではなくキッチンの棚に置くと、自然に消費・補充が回ります。
  2. 新しい物は「奥」、古い物は「手前」に補充する。お店の陳列と同じ「先入れ先出し」です。
  3. 月に1回だけ在庫チェックの日を決める。「毎月1日は防災の日」のように家族の習慣にしてしまうのがおすすめです。

熱源:カセットコンロは備蓄の主役級

電気とガスが止まっても、カセットコンロが1台あれば「お湯が沸かせる」=レトルトも麺も食べられて、赤ちゃんのミルクも作れます。ボンベの消費量は、目安として1人1週間で約6本(1日1本弱)と言われます。コンロ本体と合わせて、ボンベは最低6本、家族が多ければ1ダースを目安にどうぞ。

ボンベの保管と使用期限

カセットボンベは直射日光を避けた40度以下の場所で保管し、製造から約7年をめどに使い切ります。コンロ本体のゴムパッキンも約10年で劣化するため、古い物は点検を。ガス漏れは火災の原因になります。

水・食料以外の備蓄リスト

忘れられがちですが、災害時の生活には食べ物以外の消耗品が大量に必要です。次のリストは在宅避難1週間を想定した基本セットです。

置き場所のコツ:「1か所にまとめない」

備蓄を1つの部屋に集中させると、その部屋が地震でふさがれたときに全部使えなくなります。おすすめは分散備蓄です。

戸建てなら1階と2階に分ける、マンションなら廊下側と部屋側に分けるだけでも効果があります。マンション特有の置き場所の工夫はマンション防災ガイドもあわせてどうぞ。

予算別・備蓄のそろえ方【5千円/1万円/3万円】

「全部そろえたら いくらかかるの?」という不安には、段階的な答えを用意しました。一気に完璧を目指さず、予算に合わせて3段階で積み上げましょう。

予算別の備蓄プラン(大人2人世帯の目安)
予算そろえる物到達レベル
まず5千円水2L×2箱(12本)/カセットボンベ6本(コンロは家にある前提)/携帯トイレ30回分/乾電池・ポリ袋・ラップ3日分の最低ライン。効果対費用が最も高い5千円
次の1万円水をもう2箱/レトルト・缶詰20食分の積み増し/LEDランタン2個/モバイルバッテリー1個/ウェットティッシュ・衛生用品1週間の在宅避難が現実的に
余裕があれば3万円〜ポータブル電源(小型)/カセットガスストーブ(冬)/長期保存水・保存食で「置きっぱなし枠」を追加/簡易トイレの便座タイプ停電・断水の長期化にも余裕を持って対応

ポイントは、最初の5千円で「水・火・トイレ」を押さえること。高価な防災グッズより先に、この3つです。カセットコンロが家にない場合は、最初の5千円をコンロ+ボンベに充ててください。

賞味期限を切らさない管理術

ローリングストックを続けるうえでの実務的なコツをまとめます。

備蓄のQ&A

Q. 賃貸で収納が少ない。どこに置けば?

A. ①ベッド下(水のケースが意外と入ります)②クローゼットの床の手前側 ③冷蔵庫の上や棚の「上の空き」 ④玄関の靴箱の一角、が定番です。水2箱+食料1箱+トイレ1箱なら、合計でも畳半分ほど。家具の「すき間」を防災枠と決めてしまうのがコツです。

Q. 何からそろえるべきか、結局1つだけ選ぶなら?

A. 水です。命への影響が最も速く、代わりが利かないからです。「買い物のたびに2Lペットを1ケース」を3回繰り返せば、2人世帯の3日分が完成します。次がカセットボンベ、その次が携帯トイレです。

Q. 冷凍庫にストックを増やすのは備蓄になりますか?

A. なります。冷凍ごはん・冷凍うどん・冷凍野菜は、停電初日〜2日目の「食べる順番が最初の食料」として優秀です(食べる順番の解説参照)。ただし停電が長引くと失われるので、常温備蓄と半々のバランスで。

Q. お米は何キロ置いておけば安心?

A. 大人2人なら、常に5kg袋の残りが半分を切らないように運用すれば、それだけで2週間分以上の主食になります。無洗米にしておくと断水時も研がずに炊けて一石二鳥です(ポリ袋炊飯なら普通米も洗わず炊けます)。

Q. ペットボトルの水は開封後どれくらい持つ?

A. 開封したら冷蔵で2〜3日以内が目安です(直接口をつけたら当日中に)。災害時はコップに注いで飲む・小さいサイズを選ぶなど、「開けたら使い切れる」工夫をしてください。未開封の保存については、直射日光を避ければ表示期限まで安心して置いておけます。