警戒レベル1〜5の意味:「4までに」全員避難
大雨のとき、自治体やテレビから発表される「警戒レベル」は、取るべき行動を5段階で示した合図です。いちばん大事なことは1つだけ。警戒レベル4までに、危険な場所にいる人は全員避難を終えることです。
| レベル | 名称 | あなたがやること |
|---|---|---|
| 1 | 早期注意情報 | 最新の気象情報をチェックし始める |
| 2 | 大雨・洪水注意報 | ハザードマップで避難先・持ち物・経路を確認 |
| 3 | 高齢者等避難 | 高齢者・障がいのある人・乳幼児のいる家庭は避難開始。それ以外も準備完了 |
| 4 | 避難指示 | 危険な場所から全員避難 |
| 5 | 緊急安全確保 | すでに災害発生。移動がむしろ危険なら、建物の上階・崖から離れた部屋で命を守る |
「避難勧告」はもうありません
以前あった「避難勧告」は2021年に廃止され、警戒レベル4の「避難指示」に一本化されました。「勧告だからまだ大丈夫」という判断はもうできません。レベル4=全員避難、とだけ覚えてください。
ハザードマップ:自宅の「危険の種類」を知る
同じ台風でも、やるべきことは住んでいる場所で全く違います。それを教えてくれるのがハザードマップです。自治体の窓口・ホームページのほか、国の「ハザードマップポータルサイト」で住所を入れるだけで確認できます。
- 洪水(河川の氾濫):浸水の深さに注目。0.5mで大人の膝、1mで腰、2mで1階が水没します。深さ3m以上の地域なら2階でも危険
- 内水氾濫:川が近くなくても、下水があふれて浸水する地域があります
- 土砂災害警戒区域:崖や山の近く。雨が長引くほど危険が高まり、警戒レベルにかかわらず前兆(斜面の亀裂・湧き水・小石が落ちる)があれば即避難
- 高潮・暴風:沿岸部は浸水に加えて飛来物対策が重要
確認するのは「自宅」だけでは不十分です。職場・学校・避難経路の途中も見ておくと、外出中に被災したときの判断が変わります。
台風が来る前の準備リスト(2日前〜当日)
家の外(風が強くなる前に終える)
- ベランダ・庭の飛びそうな物(植木鉢・物干し竿・サンダル・自転車カバー)を室内へ
- 雨どい・側溝・排水口の落ち葉やごみを掃除(あふれ防止に効果大)
- 雨戸・シャッターを閉める。ない窓は飛来物に備えて養生テープ+カーテンを閉める
- 車を高い場所・浸水しない場所へ移動(地下・川沿いの駐車場から退避)
- 屋根・アンテナの確認は晴れているうちに。風雨の中の屋外作業は毎回死亡事故が起きています。絶対にやめてください
家の中
- スマホ・モバイルバッテリーをフル充電
- 浴槽に水をためる(断水・トイレ用)→断水ガイド
- 飲料水・食料の確認(台風前はお店が混みます。ふだんの備蓄があれば買い占め競争に参加しなくてすみます)
- 懐中電灯・ランタン・ラジオを手元に→停電ガイド
- 低い土地・半地下の家は、土のう・止水板・水のう(ごみ袋に水を入れた即席土のう)で入口を守る
- 非常用持ち出し袋を玄関へ。ハザードマップで避難先を家族と確認
マイ・タイムライン:「いつ・誰が・何をするか」を決めておく
マイ・タイムラインは、台風接近から避難までの行動を時系列で決めておく「わが家の避難計画表」です。難しく考えず、紙1枚に次の3行を書くだけでも立派なマイ・タイムラインになります。
- レベル2(注意報)が出たら
父:ベランダ片づけ/母:買い出しと浴槽に水/子:持ち出し袋の点検
- レベル3(高齢者等避難)が出たら
おばあちゃんと母と子は◯◯小学校へ避難開始。父は戸締まりして合流
- レベル4(避難指示)が出たら
全員が避難完了していることを171とLINEで確認
ポイントは「暗くなる前・雨が強くなる前」に動くと決めておくこと。夜間・冠水後の移動は、避難そのものが危険になります。
台風・豪雨の最中にやってはいけないこと
- 田んぼ・用水路・海の様子を見に行く:台風の犠牲者の典型パターンです。見に行っても何もできません
- 冠水した道路を歩く・車で走る:茶色い水の下は見えません。マンホールのフタが外れていたり、30cmの水深で車はエンジン停止、50cmで浮いて流されます
- 地下(地下室・地下駐車場・アンダーパス)に入る:水は低い所へ一気に流れ込みます
- エレベーターの使用(浸水・停電の恐れがあるとき):閉じ込めの危険
避難が遅れてしまったら
外がすでに危険なら、無理に避難所を目指さず「垂直避難」に切り替えます。建物の2階以上・崖と反対側の部屋へ。近くの頑丈な建物の上階に身を寄せるのも有効です。
台風が過ぎた後の注意
- 吹き返しの風があるため、目や耳で静かになっても気象情報の解除を確認してから外へ
- 切れた電線には絶対に近づかない・触らない(電力会社へ連絡)
- 浸水した家電・コンセントは乾いたように見えても漏電の危険。使用前に点検を
- 片づけ中のけが・破傷風に注意。厚手の手袋と長靴で
- 罹災証明のため、片づけの前に被害の写真(家の外4方向+浸水の深さがわかる写真)を撮っておく
窓ガラス対策の実践:養生テープの正しい使い方
台風被害で多いのが、飛来物による窓ガラスの破損です。ガラスが割れると、風雨が吹き込んで屋根が持ち上がる被害にまでつながります。
- 最優先は「飛ばさない・飛んでこない」:自分の家のベランダ・庭の物を片付けるのが、地域全体のガラスを守る一番の対策です。
- 雨戸・シャッターがある家は必ず閉める:これが最強の防御です。ふだん使っていない雨戸は、台風前に動作確認を。
- 養生テープの「米印」貼りの本当の意味:テープを貼ってもガラスは割れにくくなりません。目的は割れたときの飛散を減らすこと。貼るなら内側から米印+外周に貼り、さらにカーテンと雨戸的な役割の段ボールを内側に組み合わせると効果的です。
- 恒久対策なら飛散防止フィルム:一度貼れば台風のたびの作業が不要になり、地震のガラス対策も兼ねられます。賃貸でも貼れる剥がせるタイプがあります。
- 窓の近くで寝ない・過ごさない:暴風のピーク時は、窓から離れた部屋・廊下側で過ごしましょう。
車・自転車・物置を守る
- 車:ハザードマップで浸水想定のある地域では、台風前に立体駐車場の上階や高台へ移動させておくと、車両水没を防げます(移動は風雨が強まる前に)。青空駐車では、飛来物に備えて建物の陰に。ガソリンは満タンに(停電時の電源・情報源・避難手段になります)。
- 自転車・バイク:倒しておくか、建物の中・陰へ。強風で「走ってくる」自転車は非常に危険です。カバーは外しておきます(帆になって倒れやすくなるため)。
- 物置・カーポート:据え置き型の物置はアンカー固定が基本。カーポートの屋根パネルは、メーカーが想定する風速を超えると外れる設計の物もあります。古い物は点検を。
- プロパンガスのボンベ:チェーンの固定を確認。倒れるとガス漏れの危険があります。
台風・豪雨のQ&A
Q. 台風のとき、窓を少し開けて気圧を逃がすべき?
A. それは俗説です。窓は全部しっかり閉めて施錠してください。開けた窓から風が吹き込むと、内側から屋根を持ち上げる力が働き、かえって被害が大きくなります。
Q. 田んぼ・川・屋根の様子を見に行きたくなったら?
A. 行かないでください。毎年、見回り中の事故で人が亡くなっています。川の水位はライブカメラや川の防災情報でスマホから確認できます。屋根の点検・補修は台風が完全に過ぎてから、できれば専門業者に。
Q. 避難所に行くほどではない気がする。マンション住まいの台風対策は?
A. 浸水想定のない中高層階なら在宅避難が基本です。ただし停電・断水・エレベーター停止が数日続く想定で、水・食料と携帯トイレ、電源を準備してください。ベランダの片付けは低層階・戸建てと同様に必須です(マンション防災ガイド参照)。
Q. 停電と断水、台風ではどちらが起きやすい?
A. 台風では停電が圧倒的に多く、飛来物や倒木による電線の切断で広範囲・長時間になることがあります。断水は停電に連動して起きる場合(ポンプ停止・浄水場の停電)が多いため、台風前の備えは「停電対策+くみ置き」がセットと覚えてください。
Q. 大雨・洪水時の避難タイミングをもっと詳しく知りたい。
A. 警戒レベルごとの具体的な行動とタイムラインを大雨・洪水・土砂災害ガイドにまとめました。土砂災害の前兆現象や車避難の注意点もそちらでどうぞ。