「めったに起きない」が油断を生む
雷・竜巻・大雪は、地震や台風に比べると備えが後回しになりがちです。しかし、いずれも共通の特徴があります。
- 屋外にいるときに危険が集中する。家の中にいれば比較的安全です
- 正しい行動を知っているかどうかで結果が変わる。道具よりも知識が効きます
- 間違った通説が広まっている(木の下は安全、など)
この記事の結論
①雷の音が聞こえたら、すぐ建物か車の中へ(木の下は危険)②竜巻は窓から離れ、家の中心の低い場所へ③大雪は「出かけない」がいちばんの対策。この3つを覚えておいてください。
雷から身を守る
雷は夏だけの現象ではなく、日本海側では冬にも発生します。急に空が暗くなる、冷たい風が吹く、ゴロゴロと音がする——これらは危険が近づいているサインです。
雷の音が聞こえたら、すでに危険な範囲にいます
雷の音が聞こえる距離にいるということは、次の落雷が自分の場所に落ちる可能性があるということです。「まだ遠いから大丈夫」と考えず、音が聞こえた時点で安全な場所へ移動を始めてください。
安全な場所と危険な場所
| 場所 | 理由 | |
|---|---|---|
| 安全 | 鉄筋コンクリートの建物の中 | 電流が建物の構造を通って地面に逃げます |
| 安全 | 自動車・バス・電車の中(窓を閉める) | 金属の車体が電流を外側に流します |
| 危険 | 高い木の下 | 木に落ちた電流が人に飛び移る「側撃雷」が起きます |
| 危険 | グラウンド、河川敷、砂浜、山頂など開けた場所 | 自分がいちばん高い物になってしまいます |
| 危険 | 電柱・鉄塔・旗のポールのそば | 木と同じく側撃雷の危険があります |
逃げ込む場所がまったくないとき
- 姿勢をできるだけ低くする。ただし地面に寝そべるのは避けます(地面を流れる電流の影響を受けやすくなります)
- 足をそろえてしゃがみ、耳をふさいで、かかとを浮かせるのが望ましい姿勢とされます
- 木から離れる場合は、幹や枝から4メートル以上離れる
- 傘・釣り竿・ゴルフクラブなど、長い物を頭上に出さない
- 集団でいるときは、互いに離れる
家の中でも家電を守る
近くに落雷があると、電線を伝って過大な電流が流れ込み、家電が壊れることがあります(雷サージ)。雷が近づいたら、パソコンなど大切な機器の電源プラグを抜くのが確実です。雷ガード付きの電源タップを使うのも有効です。停電にも備えて、停電への備えもあわせて確認しておきましょう。
竜巻・突風への対応
竜巻は発生から通過までが数分と短く、事前の避難が難しい災害です。だからこそ、前兆と、その場でとる行動を知っておくことが重要になります。
竜巻が近づいているサイン
- 真っ黒な雲が近づき、あたりが急に暗くなる
- 雷鳴や雷光がある
- 冷たい風が吹き出す
- 大粒の雨やひょうが降り出す
- ゴーッというジェット機のような轟音が聞こえる
- 気圧の変化で耳に異常を感じる
気象庁からは「竜巻注意情報」が発表されます。積乱雲が発達しやすい状況では、空の変化に注意してください。
屋内にいるとき
- 窓・雨戸・カーテンをすべて閉める。窓から離れる
- 1階の、窓のない部屋(トイレ・浴室・押し入れなど)へ移動する
- 建物の中心に近い場所を選ぶ
- 頑丈な机の下に入り、両腕で頭と首を守る
屋外にいるとき
- 近くの頑丈な建物に避難する
- 建物がない場合は、くぼみに伏せて頭を守る
- 物置・車庫・プレハブは危険。飛ばされることがあります
- 電柱や樹木のそばは、倒れてくる危険があるため避ける
- 車の中も安全とは言えません。飛ばされる可能性があります
大雪への備え
雪の少ない地域ほど、少しの積雪で交通が麻痺し、大きな影響が出ます。雪国でも、屋根の雪下ろし中の事故が毎年発生しています。
大雪が予想されるときの準備
- 不要不急の外出をしない。これがもっとも効果的な対策です
- 食料・水を数日分確保する(備蓄ガイド)
- 停電に備える。大雪では電線への着雪や倒木で停電が起きます(停電対策)
- 灯油・カセットボンベなど電気を使わない暖房の燃料を確保
- 水道管の凍結対策。露出した管に保温材を巻き、就寝前に少量の水を流し続ける
- 雪かき用のスコップ、融雪剤、滑り止めの砂を用意
- 常備薬を切らさない(外出が難しくなります)
雪下ろし・雪かきの事故を防ぐ
雪下ろしの死傷事故は毎年発生しています
屋根からの転落、屋根の雪の下敷き、除雪機に巻き込まれる事故が繰り返し起きています。次のことを必ず守ってください。
- 必ず2人以上で作業する。1人での作業中の事故は発見が遅れます
- 命綱とヘルメットを使う
- はしごは足元を固定し、転倒を防ぐ
- 屋根から落ちた雪の下敷きにも注意。軒下での作業は特に危険です
- 除雪機は、詰まった雪を取り除く前に必ずエンジンを止める
- 高齢の方だけでの作業は避け、自治体の支援制度や業者の利用も検討する(高齢者の防災)
- 作業の前後に水分を取り、無理をしない。心臓への負担が大きい作業です
車の立ち往生への備え
大雪では、高速道路や幹線道路で数十時間の立ち往生が発生することがあります。冬の車の運転には、それを想定した備えが必要です。
最大の危険は一酸化炭素中毒
暖を取るためにエンジンをかけ続けると、降り積もった雪がマフラーをふさぎ、排気ガスが車内に逆流します。無色無臭の一酸化炭素で、眠っている間に命を落とす事故が実際に起きています。エンジンをかけ続けるなら、こまめに車外へ出て、マフラー周辺を除雪してください。
冬の車に積んでおく物
- 毛布・寝袋、使い捨てカイロ、防寒着、手袋
- 飲料水と、日持ちする食料
- スコップ(マフラー周りの除雪に必須)
- 牽引ロープ、スタック時の脱出用マット
- モバイルバッテリー、シガーソケット用の充電器
- 携帯トイレ(長時間の立ち往生では切実な問題になります)
- 軍手、長靴、懐中電灯
- 冬用タイヤ・チェーン(そもそも装着していることが前提)
夏の車内は高温になるため、食品やモバイルバッテリーの通年の積みっぱなしには向きません。季節別の災害対策で、季節ごとの入れ替えについて解説しています。
雷・竜巻・大雪のQ&A
Q. 雷が鳴っているとき、家の中なら何をしても安全ですか?
A. 建物の中は基本的に安全ですが、落雷の電流は電線や水道管を伝わることがあります。雷が近いときは、固定電話・パソコンなどのコードに触れない、シャワーを浴びないといった注意をしておくと、より安全です。
Q. ひょうが降ってきたらどうすればいいですか?
A. 大きなひょうは、けがや車の損傷につながります。すぐに建物の中へ避難してください。屋外の車は可能であれば屋根のある場所へ。ひょうは積乱雲の発達を示すサインで、竜巻や落雷が続いて起きる可能性があります。
Q. 大雪で停電したら、家の中でどう暖を取ればいいですか?
A. カセットガスストーブや石油ストーブが有効ですが、必ず換気してください。そして炭や発電機を室内で使うのは絶対に禁止です。一酸化炭素中毒で命を落とします。重ね着と湯たんぽ、家族で1部屋に集まる方法も有効です。詳しくは夏と冬の災害対策をご覧ください。
Q. 竜巻注意情報が出たら避難所へ行くべきですか?
A. 竜巻は発生から通過までが非常に短いため、外を移動するほうが危険なことが多いです。その場で、窓のない頑丈な場所に移動するのが基本です。