親の介護 ②
介護のお金と施設の選び方
介護のお金の不安は、「いくらかかるか分からない」ことが大部分です。このページでは、費用の平均、介護保険の自己負担の仕組み、負担を軽くする制度、施設の種類と選び方を、数字の目安つきで解説します。
介護費用の平均 ― 月9万円・期間4年7ヶ月
公的な調査では、介護にかかった費用の平均は次のような水準が目安とされています(住宅改修やベッド購入などの一時費用が平均で約47万円、毎月の費用が平均で約9万円、介護期間の平均は約55ヶ月=4年7ヶ月)。単純計算すると、1人あたりの総額はおよそ500万円台になります。
| 項目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 一時的な費用 | 平均 約47万円 | 住宅改修・介護ベッドなど。補助制度で圧縮できる |
| 毎月の費用(全体平均) | 平均 約9万円 | 介護サービスの自己負担+おむつ・食事などの生活費 |
| 在宅介護の場合 | 平均 約5万円/月 | 要介護度が上がると増える |
| 施設介護の場合 | 平均 約14万円/月 | 施設の種類で大きく変わる(後述) |
| 介護期間 | 平均 約4年7ヶ月 | 10年以上続くケースも約2割ある |
平均値は「怖がるため」ではなく「見積もるため」に使う
大事なのは総額の大きさに驚くことではなく、「親の年金と貯蓄でどこまで賄えるか」を早めに見積もることです。親の年金月額と照らし合わせれば、在宅中心か施設かの現実的なラインが見えてきます。
介護保険の自己負担の仕組み
要介護認定を受けると、介護サービスを所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます。ただし無制限ではなく、要介護度ごとに「1ヶ月に保険を使える上限(支給限度額)」が決まっています。上限を超えた分は全額自己負担です。
「限度額いっぱい使うと損」ではない
限度額は「使い切るためのノルマ」でも「使うと損する枠」でもありません。必要なサービスを組み合わせた結果が限度内に収まるよう、ケアマネジャーが調整してくれます。金額の心配は最初の面談で率直に伝えるのが一番です。
在宅サービスの種類と使い方
在宅介護は「家族が全部やる」ことではありません。次のサービスを組み合わせて、家族は「管理と見守り」に回るのが長続きのコツです。
| サービス | 内容 | こんなときに |
|---|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | ヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排せつの介助や調理・掃除を行う | 日中の生活に部分的な手助けが必要 |
| デイサービス(通所介護) | 日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーション | 閉じこもり防止、家族の休息(レスパイト)にも |
| ショートステイ | 施設に数日〜数週間の短期宿泊 | 家族の出張・冠婚葬祭・介護疲れの回復 |
| 訪問看護・訪問リハビリ | 看護師や理学療法士が自宅でケア・リハビリ | 医療的な管理やリハビリが必要 |
| 福祉用具レンタル・購入 | 介護ベッド・車いす・手すりなどを1〜3割負担で利用 | 転倒予防、介助の負担軽減 |
| 住宅改修費の支給 | 手すり設置・段差解消などの工事に上限20万円(7〜9割支給) | 詳しくは家の危険チェックへ |
最初の定番は「デイサービス週1〜2回」
本人の抵抗が比較的少なく、入浴と食事がセットになり、家族の負担が目に見えて減るためです。「お風呂だけでも行ってみる?」という誘い方が通りやすいです。
負担を軽くする制度 ― 知らないと損する4つ
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高額介護サービス費
1ヶ月の自己負担が上限額(一般的な所得の世帯で月44,400円)を超えた分は、申請すると払い戻されます。一度申請すれば以後は自動的に振り込まれる自治体が多いです。
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高額医療・高額介護合算制度
医療費と介護費の年間合計が基準額を超えた場合に、超過分が戻ります。入院と介護が重なった年は必ず確認してください。
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施設の食費・居住費の軽減(負担限度額認定)
所得や資産が一定以下の場合、特養やショートステイの食費・部屋代が軽減されます。施設利用を考え始めたら早めに市区町村へ申請を。
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医療費控除・障害者控除
おむつ代(医師の証明が必要)や一部の介護サービス費は医療費控除の対象になります。要介護認定を受けている親は、市区町村の認定で障害者控除が使える場合もあります。確定申告の前に領収書をまとめておきましょう。
施設の種類と選び方
「在宅か施設か」は二者択一ではなく、要介護度と家族の状況に合わせて段階的に考えるものです。主な選択肢を地図のように整理しました。
見学でチェックすること
施設探しは「追い込まれる前」に始める
特養は費用が抑えめな分、地域によっては待機が発生します。入院や介護者の体調不良で急に必要になってから探すと、選択肢がほぼなくなります。「まだ入らないけれど、2〜3件見ておく」が正解です。
介護費用の鉄則 ―「親のお金から」が基本
介護費用は、親自身の年金と貯蓄から支払うのが大原則です。子どもが自分の家計や老後資金を削って払い始めると、介護が長期化したときに共倒れになります。
介護の記録は相続トラブルの保険になる
誰がどれだけ介護を担い、いくら立て替えたかの記録は、後の相続の話し合いで感情的な対立を防ぐ材料になります。手間でも「介護ノート」を1冊作っておくことを強くおすすめします。
よくある質問
親にお金の余裕がない場合はどうすれば?
まず高額介護サービス費や負担限度額認定などの軽減制度をフル活用します。それでも難しい場合、世帯分離で負担段階が下がるケース、生活福祉資金の貸付、生活保護の介護扶助など段階的な選択肢があります。一人で抱えず、地域包括支援センターか市区町村の福祉窓口に相談してください。
民間の介護保険には入っておくべき?
公的介護保険と軽減制度で足りない分を貯蓄で賄えるなら、必須ではありません。検討するなら「現金給付の条件(要介護度)」と「保険料総額」を、想定される自己負担額と比べてから。加入ありきで考えないことが大切です。
きょうだいで費用負担がもめそうです。
「親のお金から払う」を先に合意するのが最重要です。そのうえで、不足分の分担は金額ではなく役割(お金を出す人・時間を出す人・手続きをする人)で考えると折り合いやすくなります。話し合いの進め方は親との話し方の家族会議の章が参考になります。