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相続の基本 ― 誰が・どれだけ・いつまでに

誰が相続人になるか(法定相続人)

配偶者は常に相続人。それに加えて、第1順位=子、第2順位=父母、第3順位=兄弟姉妹の順で相続人になります。子が先に亡くなっている場合は孫が引き継ぎます(代襲相続)。

どれだけ相続するか(法定相続分)

相続人の組み合わせ配偶者その他
配偶者と子1/2子で1/2を等分
配偶者と父母2/3父母で1/3を等分
配偶者と兄弟姉妹3/4兄弟姉妹で1/4を等分

ただしこれは「遺言書がない場合の目安」です。遺言書があれば原則そちらが優先され、相続人全員の合意(遺産分割協議)でも自由に分け方を決められます。

いつまでに(主な期限)

相続登記の義務化は「昔の相続」にも適用される

2024年4月より前に相続した未登記の不動産も義務化の対象です。「実家の名義がまだ祖父のまま」という家庭は珍しくありません。放置するほど相続人が増えて手続きが難しくなるので、早めに司法書士へ相談を。

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最初の一歩は財産目録

遺言書より先に作るべきなのが財産目録 ― 財産の一覧表です。これがないと、遺言も分割協議も相続税の判定もすべて始まりません。

財産の種類書くことマイナスの財産も忘れずに
預貯金銀行名・支店名(残高は概算でOK)借入金・ローン残債・保証人になっている契約・未払いの税金も必ず記載。マイナスが大きければ相続放棄(3ヶ月以内)の判断材料になります
不動産所在地・名義(固定資産税の納税通知書で確認)
有価証券・保険証券会社名・保険会社名・受取人
その他車・貴金属・骨董・ゴルフ会員権・貸しているお金

すでに材料はそろっている

重要書類の整理で作った「4グループの一覧」があれば、財産目録はその清書です。ここでも金額の正確さより「漏れがないこと」が大事です。

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遺言書の種類と選び方

実務でよく使われる遺言書は2種類です。

自筆証書遺言公正証書遺言
作り方全文・日付・氏名を自筆し押印(財産目録はパソコン・通帳コピー可)公証人が本人の意思を聞き取り作成(証人2名)
費用0円(法務局保管を使うと3,900円)財産額に応じて数万円〜
無効リスク方式ミス・内容の不備で無効になる例がある公証人が関与するため方式面の無効はほぼない
保管自宅保管は紛失・改ざん・未発見のリスク(→法務局保管で解消)原本を公証役場が保管
死後の検認家庭裁判所の検認が必要(法務局保管なら不要)不要
向いている人財産構成がシンプル/まず書いてみたい財産が多い・複雑/相続人間に対立の火種がある/確実性最優先

迷ったらこう考える

「家族仲が良く財産がシンプルなら、自筆+法務局保管」「不動産が複数ある、再婚・非嫡出子・疎遠な相続人がいる、事業をしているなら公正証書+専門家関与」。遺言の内容(誰に何を)を考える段階から司法書士・弁護士に相談すると、遺留分(最低限の取り分)への配慮など落とし穴を避けられます。

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法務局の自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言の弱点(紛失・改ざん・発見されない・検認の手間)をまとめて解消するのが、法務局の自筆証書遺言書保管制度です。

  1. 遺言書を自筆で作成

    法務省が公開している様式の注意点(余白・ページ番号など)に従って書きます。

  2. 保管申請の予約

    住所地・本籍地・不動産所在地いずれかを管轄する遺言書保管所(法務局)に予約します。

  3. 本人が出向いて申請

    遺言書・申請書・本人確認書類・住民票・手数料3,900円を持参します。

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もめない家庭がやっている5つのこと

  1. 生前に「意向」を家族全員が聞いている

    もめる家庭の共通点は「本人の意思を誰も知らない」こと。完璧な遺言書より、「お父さんは家は長男にと言っていたよね」を全員が聞いている状態のほうが強いこともあります。→ 家族会議の進め方

  2. 不動産の扱いを先に決めている

    トラブルの主役は現金ではなく、分けられない実家(不動産)です。「住む人はいるか」「売るのか貸すのか」「代償金を払えるか」を親が元気なうちに話し合っておきます。

  3. 介護の貢献を記録・清算している

    「私だけが介護したのに同じ取り分?」は定番の火種です。介護の記録と立替金の清算ルールを作っておくと、感情論を避けられます。→ 介護のお金の鉄則

  4. 遺留分に配慮している

    「全財産を一人に」という遺言は、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害し、逆に紛争を生みます。偏った分け方をしたい場合ほど、専門家に設計を相談してください。

  5. 生命保険を活用している

    死亡保険金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象外かつ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。代償金の原資や納税資金として、シンプルで強力な道具です。

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相続税の基礎知識

相続税は全員にかかる税金ではありません。基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数を超える場合だけ、10ヶ月以内の申告が必要です。

法定相続人の数基礎控除額ざっくり判定
1人3,600万円「自宅+預貯金」で超えそうなら、一度税理士の無料相談へ。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例(自宅の評価を大幅減)で、実際は課税されないケースも多い ― ただし特例の適用には申告が必要な場合があります
2人4,200万円
3人4,800万円

節税より先に「分け方」と「納税資金」

生前贈与などの節税策は、分け方の合意と納税資金の確保ができてからの話です。順番を間違えて「節税はできたが家族がもめた」では本末転倒です。贈与の制度(暦年贈与・相続時精算課税)は改正が続いている分野なので、実行前に必ず税理士へ確認してください。

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よくある質問

「うちは財産が少ないから関係ない」は本当?

家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の多くは、遺産総額5,000万円以下の家庭です。財産が少ないほど「分けられない実家」の比重が大きくなり、かえってもめやすい面もあります。財産の多寡ではなく、「不動産があるか」「相続人の関係性」でリスクを判断してください。

親に遺言書を書いてとお願いするのは気が引けます。

子から「書いて」ではなく、「私たちがもめないように、考えを聞かせて」から始めてください。エンディングノート(→ 終活)に希望を書いてもらい、その内容が固まったら「これ、法的に有効な形にしておくと安心だって」と遺言書へ橋渡しするのが自然な流れです。

相続の相談は誰にすればいい?

登記・遺言書作成支援は司法書士、税金は税理士、争いになりそうなら弁護士、書類作成は行政書士が目安です。自治体や士業団体の無料相談会から入るのが手軽です。→ 相談先ガイド