実家と住まい ①
実家の危険チェック ― 転倒を防ぐ住まいの整え方
高齢者の事故の多くは、外出先ではなく住み慣れた家の中で起きています。転倒からの骨折・入院は、要介護状態への入口になりがちです。このページのチェックリストを持って、次の帰省で家の中を一周してみてください。
危険が集中する場所を知る
転倒事故が多いのは、意外にも「段差の大きい場所」ではなく毎日長く過ごす場所です。発生場所の上位は居室・寝室、次いで玄関、廊下・階段、トイレ・洗面所、台所の順。つまり、対策は家全体を一気にやる必要はなく、この順番で進めれば効率よくリスクを下げられます。
「手垢のついた壁」は手すりの設置サイン
壁や柱に手をついて歩く習慣がある場所は、体がすでに支えを求めている場所です。壁の手垢・黒ずみをたどると、手すりを付けるべき位置がわかります。
部屋別チェックリスト
チェックした状態はこのブラウザに保存されます。帰省時にスマホで開きながら回るのがおすすめです。
寝室・居室(転倒発生の第1位)
玄関(第2位)
廊下・階段(第3位)
トイレ・洗面所(第4位)
台所・浴室
お金をかけずに今日できる転倒予防
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床の物を「ゼロ」にする(0円)
最強の転倒予防は片付けです。特に動線(寝室→トイレ→居間→玄関)の床に物を置かないだけで、リスクは大きく下がります。
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敷物を減らす・固定する(数百円)
小さな玄関マットや台所マットは、実はつまずきの常連です。思い切って撤去するか、滑り止めシートで固定します。
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照明を明るくする(数百円〜)
加齢で必要な明るさは若い頃の数倍になります。電球を明るいLEDに替える、人感センサー式の足元灯を廊下に置く。夜のトイレ動線が最優先です。
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スリッパをやめる・履物を見直す(0円〜)
かかとのないスリッパは脱げやすく滑りやすい履物です。室内では滑り止め付き靴下か、かかとまで覆う室内履きに。
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「またぐ・のぼる」をなくす(0円)
こたつの電源コード、風呂場の高いまたぎ、押入れ上段の布団。日常の「小さな運動能力テスト」を一つずつ減らしていきます。
介護保険の住宅改修 ― 上限20万円の補助
要支援・要介護認定を受けている人が対象の住宅改修は、上限20万円の工事費のうち7〜9割が支給されます(自己負担1割なら、20万円の工事で自己負担は2万円)。対象になる工事は次の6種類です。
| 対象工事 | 例 |
|---|---|
| ① 手すりの取り付け | 廊下・トイレ・浴室・玄関・階段など |
| ② 段差の解消 | 敷居の撤去、スロープ設置、床のかさ上げ |
| ③ 床材の変更 | 滑りにくい床材への張り替え、畳→フローリング |
| ④ 引き戸などへの扉の取り替え | 開き戸→引き戸・アコーディオンカーテン |
| ⑤ 洋式便器への取り替え | 和式→洋式トイレ |
| ⑥ 上記に付帯する工事 | 手すり設置のための壁の下地補強など |
工事の前に必ず申請 ― 事後申請は原則NG
支給には「工事前の申請と承認」が必要です。先にリフォームしてしまうと対象外になります。手順は、①ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談 → ②理由書・見積書を添えて市区町村に事前申請 → ③承認後に着工、の順。福祉住環境に慣れた業者を紹介してもらえるので、相談から始めるのが安全です。
20万円の枠は分けて使える・リセットもある
上限20万円は一度に使い切る必要はなく、複数回に分けられます。また、転居した場合や要介護度が3段階以上上がった場合は、枠が新たに使えるようになります。認定前の段階なら、自治体独自の高齢者住宅改修助成がある場合もあるので、市区町村のサイトで確認を。
冬の見えない危険 ― ヒートショック
暖かい居間から寒い脱衣所・浴室に移動すると、急激な温度差で血圧が乱高下し、入浴中の事故につながります。これがヒートショックです。高齢者の入浴中の事故は冬場に集中しており、転倒と並ぶ「家の中の二大リスク」です。
よくある質問
親が「家をいじられたくない」と改修を嫌がります。
「工事」ではなく「道具」から入るのがコツです。置き型の手すりや突っ張り式の手すりは工事不要で、福祉用具レンタルの対象になる場合があります。使って便利さを実感してから、本設置の話をすると通りやすくなります。
要介護認定を受けていなくても補助はありますか?
介護保険の住宅改修費は認定が前提ですが、自治体独自の高齢者向け改修助成やバリアフリーリフォーム減税が使える場合があります。「市区町村名+高齢者+住宅改修+助成」で検索するか、地域包括支援センターに聞いてみてください。
賃貸の実家でも住宅改修できますか?
可能ですが、大家(所有者)の承諾書が必要です。工事が難しい場合は、置き型手すり・スロープ・シャワーチェアなどのレンタル・購入(特定福祉用具)を組み合わせるのが現実的です。