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老後資金の考え方 ― 計算式はひとつだけ

老後資金の計算は、突き詰めるとこの1本の式になります。

(毎月の生活費 − 年金などの毎月の収入) × 12ヶ月 × 老後年数 + 予備費(医療・介護・住まい)

例えば、生活費25万円・年金21万円・老後25年なら、(25−21)万円 × 12 × 25年 = 1,200万円 + 予備費、という具合です。「不足が月いくらか」さえ分かれば、必要額は自分で計算できます。

目安として、65歳以上の夫婦世帯の生活費は月25万円前後、単身では月16万円前後という調査が多く、ゆとりある暮らしを望む場合はさらに数万円上乗せされます。一方、予備費として大きいのは介護(1人あたり平均500万円前後)住まいの修繕・住み替えです。

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年金はいくらもらえるのか

年金額は現役時代の働き方で大きく変わります。おおまかな目安は次のとおりです。

働き方1人あたりの月額目安備考
国民年金のみ(自営業・専業主婦(夫)など)平均 5万円台満額でも6万円台。上乗せの備えがほぼ必須
厚生年金(会社員・公務員)平均 14万円台現役時代の収入と加入期間で個人差が大きい
夫婦(会社員+専業主婦(夫))の標準的な世帯合計 23万円前後いわゆる「モデル年金」の水準
  1. 自分の額は「ねんきん定期便」か「ねんきんネット」で確認

    誕生月に届くねんきん定期便、またはねんきんネット(マイナポータル連携)で、将来の見込み額が確認できます。親の分は年金振込通知書や通帳の振込額でも分かります。

  2. 受け取り方で額が変わることを知っておく

    年金は繰下げ受給(66歳〜75歳)で1ヶ月あたり0.7%増額されます(70歳なら+42%)。逆に繰上げは減額。健康状態と手元資金を見て選ぶ「変えられる変数」です。

  3. 「長く働く」は最強の老後資金対策

    60歳以降も厚生年金に加入して働くと、年金額の上乗せと資産の取り崩し開始を遅らせる効果が同時に得られます。

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親の家計の見える化 ― 3つの数字だけ

親のお金は、細かく把握する必要はありません。介護や施設の選択肢を考えるうえで必要なのは、次の3つの数字だけです。

  1. 年金の月額(収入)

    「年金っていくらぐらい入ってるの?」が聞きにくければ、「施設って年金で払える範囲がいいよね」という文脈で大枠(15万円未満/15〜25万円/25万円以上)だけでも十分です。

  2. 毎月の生活費(支出)

    通帳の引き落としを1〜2ヶ月分見れば、ほぼ正確に分かります。重要書類の整理と同時にやるのが効率的です。

  3. 貯蓄の大枠(予備力)

    金額を聞くのではなく「もし施設に入るとしたら、年金+貯蓄でどのくらいの月額までなら大丈夫そう?」という聞き方なら、親も答えやすくなります。

この3つで「在宅か施設か」の現実的なラインが見える

年金月額が施設の月額費用を下回るなら、不足分は貯蓄の取り崩しです。「貯蓄 ÷ 不足月額」で持ちこたえられる年数が出ます。この計算を親と一緒にやることが、そのまま老後の話し合いになります。→ 施設費用の目安は介護のお金と施設

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親の介護費用と子のお金の鉄則

「親のためにお金を出す」より「親のお金で回る仕組みを作る」

子ができる最大の金銭支援は、現金を出すことではなく、軽減制度の申請・契約の見直し・使途の記録といった「仕組みづくり」です。これは時間さえあれば誰でもでき、しかも効果が続きます。

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自分の老後資金 ― 今日からできる5つ

親の準備と並行して、自分の老後準備も進めましょう。40〜50代からでも打てる手は十分あります。

  1. 固定費の見直し(即効性No.1)

    通信費・保険・サブスク・使っていない会費。月1万円削れば、老後30年で360万円と同じ価値があります。

  2. NISA・iDeCoなどの税制優遇をまず使い切る

    老後資金づくりの器としては、税金がかからない制度を優先するのが原則です。金融機関選びや商品選びに迷ったら、手数料の低いインデックス型の積立から調べてみてください(投資判断はご自身で)。

  3. 退職金と企業年金の受け取り方を早めに調べる

    一時金か年金形式かで税金・社会保険料が変わります。定年の数年前ではなく、50代前半までに一度シミュレーションを。

  4. 働く期間の選択肢を増やす

    資格・健康・人間関係への投資は、実は最も確実な老後資金対策です。「65歳以降も月5万円稼ぐ力」は、単純計算で1,000万円超の貯蓄に匹敵します。

  5. 自分のエンディングノートも書き始める

    老後準備は親のためだけのものではありません。自分の書類一覧・保険・デジタル資産の整理は、将来の家族への最高の贈り物です。→ 終活・エンディングノート

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よくある質問

「老後2,000万円必要」は本当ですか?

あの数字は「平均的な高齢夫婦の家計が月5.5万円赤字」という一時点の統計から機械的に計算されたものです。年金額・生活費・持ち家か賃貸かで各家庭の答えは全く違います。①式で自分の不足額を出す、②介護と住まいの予備費を上乗せする、の2段階で「わが家の数字」を持つことが大切です。

親に貯蓄がほとんどないことが分かりました。

まず使える制度を総動員します(高額介護サービス費、負担限度額認定、世帯分離の検討、自治体の助成)。特養など費用が抑えめの施設の情報収集も早めに。子が支援する場合も「月いくらまで・いつまで」と上限を決め、自分の老後資金を崩さない範囲で。一人で抱えず地域包括支援センターや市区町村の福祉窓口に相談してください。

親のお金の話とNISAなどの投資の話は別々に考えるべき?

別々に考えてください。高齢の親の生活資金・介護資金は「減らさない」が最優先で、投資に回すお金ではありません。一方、自分の老後資金は時間を味方にできるので、税制優遇の積立が選択肢になります。時間軸が違うお金は、置き場所も変えるのが原則です。