コラム
墓じまいで最初に連絡するのは、役所でも石材店でもない
手続き自体は難しくありません。それでも墓じまいがこじれるのは、ほとんどが「順番」の問題です。
「継ぐ人がいない」「遠くてお参りに行けない」。墓じまいを考える家庭は年々増えています。行政の手続きも整っていて、書類そのものは決して複雑ではありません。
それでも、もめる家庭が後を絶ちません。原因のほとんどは、手続きを先に進めてしまったことです。
最初にやるのは、親族への相談
墓じまいを決めるのは、費用を出す人ではありません。関係する親族全員です。
ここで意外なのは、ふだんお参りに行っていない親族ほど強く反対することが多い、という点です。実際に管理してきた人が「もう無理だ」と判断しても、遠くにいる親族には墓の傷み具合も、管理料の負担も見えていません。だから「勝手に先祖の墓をなくす気か」という話になります。
感情論の前に、事実を並べる
年間の管理料はいくらか。最後にお参りしたのは誰で、いつか。車で何分かかるか。墓石はどのくらい傷んでいるか。写真と数字を用意して共有するところから始めてください。それだけで話の質が変わります。
次に、お寺や霊園に「相談」する
ここも順番が大切です。石材店に見積もりを取り、日程まで決めてから住職に伝える——これがいちばんこじれる進め方です。
寺院墓地の場合、墓じまいはその寺の檀家をやめること(離檀)を意味します。長年お世話になってきた関係が、事後報告で終わるのは誰にとっても気持ちのよいものではありません。石材店を手配する前に、直接会って事情を説明する。これだけで、ほとんどのトラブルは避けられます。
離檀料に法律で決まった金額はありません。数万円から20万円程度とされることが多いようですが、受け取らないお寺もあります。金額よりも、これまでの感謝を先に伝えることが結果的に話を早く進めます。
役所の手続きは、そのあと
合意が取れてはじめて、行政の手続きに進みます。改葬許可の申請先は、いま遺骨があるお墓の所在地の市区町村です。引っ越し先ではありません。ここを間違えて問い合わせる方がとても多い部分です。
必要な書類は、改葬許可申請書、今の墓地管理者が発行する埋葬証明書、新しい納骨先の受入証明書が基本です。つまり新しい納骨先が決まっていないと申請できません。永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、選択肢は増えています。→ お墓と墓じまい
親が元気なうちに話すのがいちばん安い
墓じまいは、親が亡くなってから子の世代だけで進めると、必ず「本人はどう思っていたのか」でもめます。逆に、親自身が「自分はここに入りたい」と言っていれば、それが最強の説明になります。
お盆や法事で親族が集まるときは、実は絶好の機会です。「どうする?」と重く切り出すのではなく、「最近は樹木葬も多いらしいね」くらいから始めてみてください。→ 親との話し方・終活・エンディングノート