コラム
請求しないともらえない「未支給年金」
親が亡くなったあと、ほぼ必ず発生するのに見落とされがちなお金があります。年金の「最後の1〜2か月分」です。
親を見送ったあとの手続きは、数が多くて何から手をつければよいかわからなくなります。そのなかで「知らなければ、そのまま消えてしまうお金」があるのをご存じでしょうか。未支給年金です。
年金は「後払い」だから、必ず残る
年金は、偶数月の15日に前2か月分がまとめて振り込まれます。たとえば6月15日に入るのは4月分と5月分です。つまり、受け取るのは常に過去の分ということになります。
この仕組みのため、亡くなった時点では必ず「まだ受け取っていない分」が残ります。年金は死亡した月の分まで受け取る権利があるので、タイミングによっては1〜3か月分が未払いのまま残ることになります。これが未支給年金です。
自動では振り込まれません
未支給年金は、遺族が請求してはじめて支払われます。死亡届を出しただけでは支給されません。「手続きをしたから大丈夫」と思っていて、実は請求していなかった——というケースは珍しくありません。
請求できるのは「生計を同じくしていた」遺族
請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族です。優先順位は、①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹 ⑦それ以外の3親等内の親族、と決まっています。
「同居していないから無理だろう」とあきらめる方がいますが、別居でも仕送りをしていた、健康保険の扶養に入れていたといった事情があれば認められることがあります。遠距離で親を支えていた方は、あきらめる前に年金事務所に相談してみてください。→ 遠距離介護
相続放棄をしても受け取れます
ここが意外と知られていない点です。未支給年金は相続財産ではありません。請求した遺族が、自分の権利として受け取るお金です。
そのため、親に借金があって相続放棄をした場合でも、未支給年金は受け取れます。税金の扱いも相続税ではなく、受け取った人の一時所得になります。ただし個別の事情で判断が分かれることもあるため、相続放棄を検討している場合は、手続きの前に弁護士や司法書士に確認しておくと安心です。
時効は5年。でも早めに
請求の時効は5年ですが、年数が経つほど必要書類(戸籍など)を集めるのが大変になります。年金を止める手続きと同時に請求してしまうのがいちばん確実です。年金事務所は電話で相談の予約ができるので、必要な持ち物を聞いてから行くと1回で終わります。
あわせて確認したい「企業年金」
もうひとつ見落とされやすいのが、勤めていた会社の企業年金や厚生年金基金です。これらは日本年金機構とはまったく別の手続きで、企業年金連合会や各基金に個別に連絡が必要です。国の年金の手続きが終わったからといって、自動的に処理されるわけではありません。
親が会社勤めをしていた期間がある場合は、「企業年金はありませんでしたか」と一度確認してみてください。→ 親の年金と遺族年金