実家がマンションのとき
マンションは解体という選択肢がなく、誰も住まなくても毎月お金が出ていきます。一戸建てとは判断の前提が変わります。
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一戸建てとの決定的な違い
実家が分譲マンションの場合、一戸建てとは前提がいくつも変わります。特に大きいのは次の3点です。
| 一戸建て | 分譲マンション | |
|---|---|---|
| 毎月の固定費 | なし(税金は年1回) | 管理費・修繕積立金が毎月かかる |
| 解体という選択肢 | ある | ない(自分の専有部分だけ壊せない) |
| 空き家の3000万円特別控除 | 使える可能性がある | 原則として使えない(区分所有建物は対象外) |
| 売りやすさ | 立地次第で年単位 | 同じマンション内の相場が分かるため比較的早い |
| 管理の手間 | 換気・通水・草刈りが必要 | 共用部は管理組合が管理。専有部の換気は必要 |
最も重要なのは「毎月お金が出ていく」こと
誰も住んでいなくても、管理費と修繕積立金は毎月かかります。合計で月2万円なら、年24万円。判断を3年先送りすれば72万円です。一戸建てより、放置のコストが明確に高いのがマンションの特徴です。
空き家のマンションにかかるお金
| 項目 | 年間の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理費 | 12万〜24万円 | 月1万〜2万円が中心。規模と設備で変動 |
| 修繕積立金 | 12万〜30万円 | 築年数が進むと値上げされることが多い |
| 固定資産税・都市計画税 | 5万〜20万円 | 土地の持分+建物 |
| 火災保険 | 1万〜3万円 | 専有部分の保険 |
| 電気・水道の基本料金 | 1万〜3万円 | 契約を残す場合 |
| 駐車場代 | 0〜18万円 | 使わないなら解約する |
| 合計 | 年30万〜80万円 |
駐車場は真っ先に解約する
親名義の駐車場契約が残っていると、使っていなくても料金がかかり続けます。管理組合または管理会社に連絡して、早めに解約してください。ただし、売却時に「駐車場付き」であることが強みになる物件もあるため、不動産会社に相談してから判断すると確実です。
滞納があると、買主に引き継がれる
マンション特有の、見落とすと危険な仕組みがあります。
管理費の滞納は次の所有者が払う
区分所有法により、管理費や修繕積立金の未払い分は、その部屋を買った次の所有者にも請求できます(特定承継人への請求)。つまり、滞納したまま売ろうとすると、買主が「その分を差し引いてほしい」と主張するのは当然のことになります。
親が入院や施設入居で支払いが止まっていた、認知症で口座が凍結されていた、というケースは実際にあります。まず管理会社に連絡し、滞納の有無と金額を確認してください。
相続したら、まず管理組合へ届け出る
所有者が変わったことを管理組合に届け出る必要があります(組合員資格の得喪の届出)。届け出ないと、総会の案内や、修繕積立金の値上げ・大規模修繕の連絡が届きません。気づかないうちに滞納が積み上がるのは、この連絡先が古いままになっていることが原因であることが多いです。
管理会社に連絡し、次の3つを済ませてください。
- 所有者が亡くなったことと、相続人の連絡先の届出
- 管理費・修繕積立金の引き落とし口座の変更(親の口座は凍結されます)
- 滞納の有無と金額の確認
マンションの片付けで気をつけること
作業そのものは一戸建てより楽なことが多いのですが、共同住宅ならではの制約があります。
- 作業日を管理組合に届け出る:搬出作業や工事は、事前申請が必要な場合があります。
- エレベーターの養生:傷をつけると弁償になります。業者に養生をしてもらってください。
- トラックを停める場所:来客用駐車場が使えるか、路上駐車になるかで費用が変わります。
- 作業できる時間帯:騒音への配慮から、時間が決められていることがあります。
- 粗大ごみの一時置き場:共用廊下に物を置けない規約が一般的です。
- エレベーターがない・使えない:階段作業になると費用が上がります。
見積もりを取るときは、階数・エレベーターの有無・トラックを停められる場所を必ず伝えてください。これを伝えないと、当日に追加料金が発生します。
売る・貸す・持ち続ける
売る
同じマンション内の過去の成約事例があるため、一戸建てより価格の見通しが立ちやすく、売却も早い傾向があります。ただし、次のような物件は苦戦します。
- 1981年5月以前の建築(旧耐震基準)で、耐震診断や補強が行われていない
- 修繕積立金が極端に少ない、または長期修繕計画がない
- 管理費・修繕積立金の滞納が多く、管理組合の財政が悪い
- エレベーターがなく、上層階である
- 駅から遠く、周辺に空室が多い
空き家の3000万円特別控除は使えません
相続した実家を売るときの大きな特例である「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」は、区分所有建物(マンション)を対象外としています。一戸建てなら使えた控除が、マンションでは使えません。
ただし、相続税を納めた場合の「取得費加算の特例」は使える可能性があります。売却前に税理士に確認してください。
貸す
マンションは一戸建てより賃貸に向いています。設備の更新費用が比較的少なく、借り手も見つかりやすいためです。ただし、管理費と修繕積立金は貸主の負担なので、家賃からこれを引いた金額が実質の収入になります。月8万円で貸しても、管理費等が月2万円なら手取りは6万円、そこから固定資産税と管理委託料が引かれます。
また、賃貸に出すと居住用ではなくなるため、将来売却するときの税制上の扱いが変わることがあります。
持ち続ける
月々の固定費がかかり続けるため、一戸建て以上に「何のために持つのか」を明確にする必要があります。子どもが数年後に使う予定がある、といった具体的な理由がないなら、早めに手放すほうが金額的には有利になりやすい選択です。
築古マンションの注意点
親世代が買ったマンションは、築40年を超えていることも珍しくありません。次の点を確認してください。
修繕積立金は足りているか
積立金が不足していると、大規模修繕のときに一時金として数十万円〜100万円以上を請求されることがあります。管理組合の総会資料(収支報告書、長期修繕計画)を取り寄せて確認してください。売却前に大規模修繕が予定されている場合、その負担を誰がするかも交渉の対象になります。
管理が行き届いているか
共用部の清掃状態、掲示板、駐輪場の様子を見ると、管理の質が分かります。管理不全の状態にあるマンションは、売却価格に大きく響きます。
建て替えや敷地売却の話が出ていないか
老朽化したマンションでは、建て替えや、区分所有者全員での敷地売却が検討されていることがあります。これは大きな判断になるため、総会の議事録を確認し、話が進んでいる場合は不動産会社と税理士に相談してください。
賃貸に出せない規約になっていないか
まれに、賃貸を制限する管理規約のマンションがあります。貸す前に必ず規約を確認してください。
このページのよくある質問
親が亡くなってから管理費が引き落とされていません。
マンションでも相続登記は必要ですか。
空き家の3000万円控除がマンションでは使えないのはなぜですか。
誰も住まないので、管理費を払わなくてもよいですか。