写真と思い出の品の整理

遺品整理でいちばん時間を食うのが写真です。捨てずに減らし、家族全員で分け合える形にする方法をまとめます。

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写真の整理がいちばん時間を食う理由

遺品整理を経験した人の多くが「写真で手が止まった」と言います。理由は単純で、1枚1枚を見てしまうからです。段ボール3箱分のアルバムを開き始めると、それだけで一日が終わります。

対策は、現地では見ないことです。写真は箱に詰めて自宅に持ち帰り、時間のあるときに整理する。片付けの現場では、判断せずに「持ち帰る」だけと決めてしまいます。写真は軽いので、宅配便で送れば車の積載量も気にせずに済みます。

親が元気なうちにやると価値が何倍にもなる

古い写真は、写っている人が誰なのか、いつどこで撮ったのかが、本人にしか分かりません。親が亡くなってから見ても「知らない人が写った写真」になってしまいます。元気なうちに一緒に見て、名前と場所を書き込んでおくのが最も価値のある作業です。会話のきっかけにもなり、実家じまいの話を切り出す入口としても使えます。

写真を減らす方法

  1. アルバムから写真を外す台紙つきのアルバムは、かさばるうえに重いです。写真だけ抜けば体積は10分の1以下になります。粘着が強く剥がれない場合は、ドライヤーで軽く温めると外れやすくなります。
  2. 明らかに残さないものを抜く風景だけの写真、ピンボケ、同じ構図の連写、誰が写っているか分からない集合写真。ここで半分近くが減ります。
  3. 人物中心で残す家族が写っているもの、行事のもの、家の様子が分かるもの。「家」の写真は、後で解体したあとに貴重になります。
  4. デジタル化するスマートフォンのアプリ、家庭用スキャナー、写真専門のスキャンサービスのいずれか。枚数で選びます。
  5. 兄弟に配るデータにすれば全員に配れます。取り合いが起きません。
  6. 原本の一部を残す全部を捨てる必要はありません。「この箱1つ分」と決めて、大事なものだけ現物で残します。
写真のデジタル化の方法
デジタル化の方法費用速さ向いている量
スマートフォンのスキャンアプリ無料〜数百円1枚数秒100枚程度まで
家庭用スキャナー(複合機)手持ちがあれば無料1枚20〜60秒300枚程度まで
高速スキャナーを買う・借りる1万〜4万円1枚1秒以下1,000枚以上
写真スキャンの代行サービス1枚10〜30円程度送って待つだけ数千枚

数千枚あるなら、代行サービスに送るのが結局いちばん早く、きれいに仕上がります。ネガフィルムやビデオテープ、8ミリフィルムをデータ化してくれるサービスもあります。

ビデオテープ・カセット・フィルム

実家からは、今では再生する機械がない記録媒体が出てきます。

  • VHS・8ミリビデオ・MiniDV:磁気テープは20〜30年で劣化します。再生できるうちにデータ化しないと、内容が失われます。ダビング業者に依頼するのが現実的です(1本1,000〜2,000円程度)。
  • カセットテープ・MD:家族の声が入っていることがあります。特に故人の声は、あとから取り戻せません。
  • ネガフィルム・スライド:写真のプリントより画質がよいことが多く、データ化する価値があります。
  • フロッピーディスク・CD-R:CD-Rは劣化していて読めないことがあります。読めるうちにコピーを。

先にやるべきは「再生できるか」の確認

すべてをデータ化するとお金がかかります。まず1本だけ試して、中身が家族にとって価値のあるものかを確認してから、残りをどうするか決めてください。再生機が実家にあるなら、その場で確認するのがいちばん早いです。

写真以外の思い出の品

手紙・日記・年賀状

親の日記や手紙は、読むかどうかで悩む方が多い部分です。読むと手が止まりますし、知りたくなかったことが書かれていることもあります。「後で読む」と決めて封筒にまとめ、いったん保留にするのが現実的です。年賀状は、訃報を知らせる相手の名簿として役立つことがあるため、少なくとも直近の数年分は残しておくと便利です。

着物・衣類

「母の着物を捨てられない」という声はとても多いです。全部残すのは難しくても、次のような方法があります。

  • バッグ、財布、小物入れなどに仕立て直す(リメイク)
  • クッションカバーやタペストリーにする
  • 1枚だけ残して、あとは買取や寄付へ
  • 写真に撮って記録に残す

賞状・トロフィー・作品

本人にとって大切でも、次の世代には引き継ぎにくいものです。写真に撮って手放す判断がしやすい代表格です。

子ども時代の自分の荷物

実家には、自分の教科書や卒業アルバム、部活の道具が眠っていることがあります。これは自分で判断できるので、片付けの練習として最初に手をつけるのに向いています。

「捨てる」以外の手放し方

状態のよい衣類や食器、未使用のタオル・寝具は、地域の福祉施設やリユース団体で受け入れてもらえることがあります。海外支援団体に送る仕組みもあります。「捨てる」に抵抗がある場合、こうした手放し方があると気持ちが軽くなります。ただし、送料が自己負担になることが多く、受け入れ条件も団体によって違うので、事前に確認してください。

デジタルの遺品も忘れずに

最近は、紙の写真よりスマートフォンやパソコンの中に思い出が入っています。同時に、お金に関わる情報も入っています。

  • 写真・動画:スマホ本体、クラウドサービス、パソコン。ロックが解除できないと取り出せません。
  • ネット銀行・ネット証券:通帳がないため、家族が存在に気づかないことがあります。郵便物やメールが手がかりです。
  • サブスクリプション:動画配信、音楽、有料アプリ。解約しないと引き落としが続きます。
  • SNSアカウント:追悼アカウントへの移行や削除を申請できるサービスがあります。

親が元気なうちに、スマホのロック解除方法と、主要なサービスの一覧だけ共有してもらえると、あとの手間がまったく違います。パスワードそのものを渡すことに抵抗があるなら、封筒に入れて保管場所だけ伝えておく方法もあります。

このページのよくある質問

写真が数千枚あります。全部データにすべきですか。

まず半分に減らしてからデータ化するのが現実的です。風景だけ・ピンボケ・重複を抜くと、多くの場合は半分以下になります。残ったものを代行サービスに出せば、費用も時間も抑えられます。

親のアルバムを勝手に処分してよいか迷います。

亡くなった後であれば、写真も相続財産の一部です。兄弟がいる場合は、処分する前にデータ化して全員に配ると、後から「勝手に捨てた」という話になりません。

故人のスマートフォンのロックが解除できません。

通信会社に相談すると、契約者の死亡を証明する書類を提出したうえで、対応してもらえる場合があります。ただしデータの取り出しまではできないことが多く、専門のデータ復旧業者に依頼すると数万円以上かかります。