残すもの・捨てるもの・売るもの
片付けが止まる原因は、体力ではなく「決められないこと」です。判断の順番と、捨てる前に一度立ち止まるべきものを整理します。
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迷ったときの判断基準
片付けが止まる原因のほとんどは「捨てるかどうか決められない」ことです。次の順番で自問すると、判断が速くなります。
- これは書類・貴重品か?通帳、権利証、保険証券、印鑑、現金、有価証券。→ 迷わず残す。
- 誰かが今すぐ使うか?自分や兄弟が実際に使う予定があるか。「いつか使うかも」は使わないと考えて構いません。
- お金になるか?着物、貴金属、古い道具、ブランド品。→ 売却の候補へ。捨てる前に査定に出します。
- 代わりが手に入るか?同じものを買い直せるなら、置いておく理由は弱くなります。
- 写真で残せるか?見て思い出すためのものなら、撮影して手放すという選択肢があります。
- それでも決められないか?「迷い箱」に入れて期限を書く。半年後に開けて、必要なければ処分します。
「もったいない」と「使う」は別
実家には、まだ使えるのに使わないものが大量にあります。未使用のタオル、贈答品の食器、新品の下着。「まだ使える」は捨てない理由になりますが、「誰かが実際に使う」かどうかとは別の話です。使う人がいないなら、寄付や譲渡も含めて手放し先を考えるほうが、物にとっても幸せです。
必ず残すもの
手続きに必要な書類
相続の手続きが終わるまでは、次の書類は保管してください。処分するのは、名義変更も税の申告もすべて完了してからです。
- 不動産の権利証(登記識別情報)、固定資産税の納税通知書
- 預金通帳、証券会社・保険会社からの郵便物
- 年金関係の書類、健康保険証、介護保険証
- 確定申告の控え(相続税の計算や、売却時の取得費の証明に使えることがあります)
- 家を買ったときの売買契約書と領収書(後述。極めて重要です)
家の売買契約書は絶対に捨てないでください
実家を売却するとき、利益(譲渡所得)にかかる税金は「売った金額-買ったときの金額-経費」で計算します。この買ったときの金額(取得費)を証明する書類がないと、売却額の5%しか取得費として認めてもらえません。3,000万円で売れた家なら、取得費150万円として計算され、税金が数百万円単位で変わることがあります。
古い茶封筒に入った「不動産売買契約書」「建築工事請負契約書」「代金の領収書」は、何十年前のものでも必ず残してください。
感情のために残すもの
基準は「量を決める」ことです。「アルバムは全部」ではなく「この箱1つに入るだけ」と決めると、選ぶ作業になります。手紙、日記、賞状、子どもの作品なども同じです。写真と思い出の品で具体的な方法を扱います。
売れるもの・捨ててはいけないもの
処分費を払って捨てたものが、実は売れるものだったというのはよくある話です。次のものは、捨てる前に査定に出す価値があります。
| 分類 | 具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 貴金属・宝飾品 | 金・プラチナの指輪、ネックレス、金歯、記念金貨 | 金相場が高いため、壊れていても重さで買い取られる |
| 着物・和装小物 | 訪問着、留袖、帯、反物、和装バッグ | 証紙つき・作家物は価値が出ることがある。ただし多くは数百円程度 |
| 時計・カメラ | 機械式腕時計、フィルムカメラ、レンズ | 動かなくても部品として値がつくことがある |
| 酒類 | ウイスキー、ブランデー、古酒、未開封の贈答用 | 未開封が条件。酒類の買取には免許が必要 |
| 切手・古銭・記念硬貨 | シート切手、記念切手、旧札、外国コイン | 額面以上になるものは限られるが、量があればまとまる |
| 骨董・美術品 | 掛け軸、茶道具、壺、日本人形、絵画 | 本物か贋作かで極端に変わる。専門店へ |
| 工具・農機具 | 電動工具、耕運機、チェーンソー、発電機 | 中古需要が高い。動作すれば値がつきやすい |
| ブランド食器 | 未使用の食器セット、銀器、クリスタル | 箱つき未使用が条件になりやすい |
| 家電・家具 | 製造から5年以内、有名メーカー | 10年以上前のものはほぼ買取不可 |
売り方の選び方
| 方法 | 向いているもの | 手間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 出張買取 | 量が多い、大型のもの | 小 | その場で現金化。まとめて見てもらえる |
| 宅配買取 | 本、ブランド品、貴金属 | 中 | 箱に詰めて送るだけ。査定額に納得できなければ返送 |
| 専門店へ持ち込み | 骨董、着物、カメラ | 大 | 専門知識のある店だと評価が高くなる |
| フリマアプリ・ネットオークション | 1点ずつ売る余裕がある人 | 特大 | 最も高く売れるが、撮影・出品・発送の手間が大きい |
| リサイクルショップ | 家具・家電 | 中 | 早いが金額は低め。引き取り不可のものも多い |
「まとめて査定」の落とし穴
不用品回収と買取をセットで行う業者に一括で任せると、価値のあるものが安く見積もられることがあります。高そうなものだけは別枠で専門店に見てもらうと、判断材料が増えます。査定額に納得できないときは、その場で売らずに持ち帰る(または引き取りを断る)ことができます。
捨てるときに気をつけるもの
そのままごみに出せないもの、出し方に注意が要るものがあります。
- 家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)はリサイクル料金が必要です。粗大ごみには出せません。
- パソコンはメーカーによる回収か、認定事業者の宅配回収を利用します。
- 個人情報が載った書類は、シュレッダーにかけるか、溶解処理サービスを使います。
- 写真・アルバムは自治体によって分別が異なります。多くは可燃ですが、量が多いと出し方に工夫が必要です。
- 刃物・薬・スプレー缶・灯油は事故につながるため、扱いに注意が必要です。
- 仏壇・仏具・神棚・お守りは、供養してから処分するのが一般的です。
品目ごとの具体的な出し方は品目別の処分方法にまとめました。
兄弟との分け方でもめないために
物の分け方でもめる原因は、価値の高いものではなく思い入れのあるものであることがほとんどです。母の指輪、父の万年筆、家族写真。金額に換算できないものほど、話がこじれます。
先に手順を決める
- 全員に「欲しいものリスト」を書いてもらう(現物を見る前に)
- 重ならなかったものは、希望した人がそのまま受け取る
- 重なったものだけ、話し合うかくじ引きにする
- 金銭的価値のあるものは、査定額を確認してから分ける
写真は、データにして全員に配れば取り合いになりません。デジタル化は写真と思い出の品で扱います。
売って現金にしたほうがもめないこともある
骨董品や貴金属など、金額が大きく分けにくいものは、売却して現金で分ける(換価分割)ほうがすっきりすることがあります。「価値が分からないまま誰かが持っていった」という状態が、いちばん不満を残します。
このページのよくある質問
捨ててよいか分からないものが多すぎます。
着物がたくさんありますが、価値はありますか。
仏壇の中に現金が入っていました。どうすればよいですか。
親が生きているうちに、物を売ってもよいですか。