売れない実家の出口
値下げしても売れない家には、価格以外の原因があります。まず原因を特定し、買取・空き家バンク・国庫帰属といった別ルートを検討します。
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なぜ売れないのか
実家が売れない理由は、価格だけではありません。まず原因を特定しないと、値下げしても売れません。
| 原因 | 確認方法 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 価格が相場より高い | 近隣の成約事例と比べる | 価格を見直す |
| 立地に需要がない | 地域の人口動態、周辺の空き家率 | 買取、空き家バンク、隣地への売却 |
| 再建築不可 | 役所の建築指導課で接道を確認 | 古家付きで売る、隣地に売る、リフォームして貸す |
| 市街化調整区域 | 都市計画図で確認 | 建築の許可要件を確認。買主が限られる |
| 建物の状態が悪い | 雨漏り、シロアリ、傾き | 解体して土地として売る、または買取へ |
| 境界が不明確 | 境界標の有無、測量図の有無 | 測量して確定させる |
| 接道が狭い、旗竿地 | 現地と公図で確認 | 隣地との一体売却を検討 |
| 不動産会社が動いていない | 販売活動の報告、レインズ登録 | 会社を変える |
まず不動産会社を変えてみる
売れない原因が「会社が動いていない」ことは、実際によくあります。半年経っても内覧が数件しかない場合、広告の出し方や販売戦略に問題がある可能性があります。媒介契約は3か月ごとに更新なので、更新せずに別の会社に変えることができます。地元に強い会社と、大手の両方を試してみる価値があります。
不動産買取という選択
仲介(買主を探して売る)ではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
| 仲介で売る | 買取 | |
|---|---|---|
| 価格 | 市場価格 | 市場価格の6〜8割程度 |
| 期間 | 3か月〜1年以上 | 数日〜1か月 |
| 内覧 | 必要 | 不要 |
| 仲介手数料 | かかる | かからないことが多い |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 免責になることが多い |
| 向いている場合 | 時間をかけられる | 早く確実に手放したい、遠方、状態が悪い |
価格は下がりますが、片付けや解体をせずにそのまま引き取ってもらえることも多く、トータルで見ると悪くない選択になる場合があります。特に、残置物の処分費や解体費が数百万円かかる物件では、買取のほうが手取りが多くなることもあります。
買取保証つきの仲介
「一定期間売れなければ、不動産会社が買い取る」という仕組みです。まず市場価格で売り出し、売れなければ買取に切り替えられるため、時間の見通しが立ちます。取り扱っている会社に確認してみてください。
空き家バンクと、ゼロ円での譲渡
空き家バンク
自治体が運営する、空き家の情報を移住希望者などに紹介する仕組みです。全国版のポータルサイトもあります。
- 登録は無料のことが多い
- 自治体によっては、改修費やリフォーム費の補助が受けられる(移住者向け・所有者向けの両方がある)
- 成約には時間がかかる。数年単位で待つこともある
- 実際の契約は、提携する不動産会社が仲介するのが一般的
市場では売れにくい物件でも、「田舎暮らしをしたい」「古民家を自分で直したい」という層に届く可能性があります。
格安・無償で譲る
「0円物件」を扱うサイトやサービスがあります。所有者にとっては、固定資産税と管理の負担から解放されるメリットがあります。
無償譲渡の注意点
- もらった側に贈与税がかかることがあります(個人間の場合)。土地建物の評価額によっては数十万円になることも。
- 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)は必要です。
- 契約書を作らずに渡すと、後でトラブルになります。必ず書面にしてください。
- 相手が本当に管理できるのか(放置されて近隣に迷惑がかかると、譲った側の道義的責任も問われかねません)。
相続土地国庫帰属制度
2023年4月27日に始まった、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。使えれば強力ですが、条件が厳しいのが実情です。
使える条件
- 相続または遺贈によって取得した土地であること(購入した土地は対象外)
- 建物がないこと(解体が必要)
- 担保権や使用収益権が設定されていないこと
- 他人による使用が予定されていないこと(通路など)
- 土壌汚染がないこと
- 境界が明らかで、所有権について争いがないこと
- 崖がなく、管理に過分な費用や労力がかからないこと
- 除去が必要な工作物、車両、樹木などがないこと
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 審査手数料 | 土地1筆あたり14,000円(不承認でも返還されない) |
| 負担金 | 原則20万円(宅地・田畑・雑種地など。市街化区域の宅地や農地は面積に応じて算定) |
| 解体費用 | 建物がある場合は別途100万〜200万円程度 |
現実的な判断
建物を解体して150万円、負担金と手数料で22万円。合計170万円以上をかけて、土地を手放すことになります。売却や無償譲渡の可能性を探ってから、最後の手段として検討するのが妥当です。まずは法務局(本局)の相談窓口で、その土地が要件を満たすか相談できます。
どうしても手放せない場合
売れず、譲れず、国も引き取らない。そういう土地は現実に存在します。その場合の考え方を整理します。
1. 保有コストを最小化する
- 建物が危険なら解体を検討する(ただし固定資産税は上がります)
- 火災保険は継続する(賠償リスクのほうが大きい)
- 管理は最低限(年数回の草刈りと外観確認)に絞る
- 電気・水道は解約し、封水対策をする
2. 収益化を試す
- 近隣に月極駐車場として貸せないか
- 資材置き場、家庭菜園として貸せないか
- 太陽光発電の用地として使えないか(条件は限られます)
- 自治会や地域団体に使ってもらえないか
3. 次の世代に丸投げしない準備
自分が持ち続けると決めた場合でも、子や孫に何も伝えずに残すのは最悪の形です。次のことを書き残してください。
- 土地の場所、地番、面積、固定資産税額
- これまでに検討した売却・譲渡の経緯と、断られた理由
- 境界の状況、隣地所有者の連絡先
- 相談したことのある不動産会社や専門家
相談先
行き詰まった場合は、次のような窓口があります。
- 自治体の空き家相談窓口:空き家バンクや補助金の情報を持っています
- 空き家の相談員がいる相談会:自治体が宅建業者や司法書士と連携して開催していることがあります
- 法務局:相続土地国庫帰属制度の相談
- 司法書士・土地家屋調査士:権利関係と境界の整理
詳しくは相談先ガイドをご覧ください。
このページのよくある質問
2年売り出していますが、内覧が1件も来ません。
タダでもいいから引き取ってほしいのですが。
自治体に寄付できませんか。
農地なのですが、売れません。